研究概要 |
本研究は従来の熱処理による表面強さ向上機構解明の成果に基づいて,従来の表面硬化処理に加えて,ショットピーニング,溶射,メッキなどによる複合表面処理を施し,歯車をはじめ,滑り・転がり接触機械要素の表面強さ向上を目指すもので,複合表面処理機素表面損傷モデル,表面強さ向上機構を明らかにすることを目的としている. 本年度においては,複合表面処理材の表面損傷,強さ向上機構に関する基礎的検討を行うために,浸炭材および浸炭材にショットピーニングを施したローラおよびピンとディスク試験片の製作を完了し,二円筒試験機およびピン・オン・ディスク試験機を用いて,複合表面処理機素の表面損傷,強さに関する基本的実験データを収集するための実験を行った.浸炭材およびこれにショットピーニングを施した試験片にさらにMo溶射やMoS_2メッキによる表面処理を行うために,それら被膜の厚さの検討などを行った.また,2円筒試験およびピン・オン・ディスク試験中のトルク,振動,騒音などの動的性能変化ならびに表面あらさ変化を測定し,試験中の表面形状変化と動的性能データの関係を定量的に関係づけるために表面あらさ解析,フラクタル解析などのプログラムを作成した.そして,各試験片の表面損傷形態およびショットピーニングが表面強さに及ぼす効果,さらに表面損傷と試験中の動的性能変化の関係を明らかにした. 浸炭材およびこれにショットピーニングを施した試験片にさらにMo溶射やMoS_2メッキを施した試験片の製作がやや遅れているため,それら表面処理試験片の表面損傷,強さに関する基本的実験データを収集することはできていないが,ほぼ当初の研究計画通りであると評価しています.
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