研究概要 |
(1)研究代表者の実験室に既存の低乱流風洞内に、2次元円柱を設置し、近傍後流、中間後流、遠方後流の代表的な位置における速度変動のデータベースを構築した。 (2)データベース解析のためのウエーブレット変換およびPOD(Proper Orthogonal Decomposition)解析のためのソフトウエアを構築した。また、ウエーブレット変換から相互相関、スペクトル、およびエネルギーなどを計算するソフトウエアを構築した。 (3)Mexican-hat wavelet,Antisymmetric wavelet,Morlet waveletの3種類のウエーブレット変換パターンを比較検討し、適当な座標軸の平行移動をすれば、これらのウエーブレットがほぼ同じパターンを与えることを明らかにした。また、3種類のウエーブレットのなかで、Morlet waveletが最も多くの情報を与える点で有利であることを示した。 (4)2次元円柱の中間後流領域における速度変動を、構築したソフトウエアによって解析した。この結果、(i)乱流状態のカルマン渦が引き起こす周期的な速度変動には、低周波数の振幅変調があること;(ii)振幅変調の中心周波数は、カルマン渦の周波数の15分の1程度であること;(iii)この中心周波数はWilliamson(Cornell大学)、亀井ら(横浜国大)、羽二生ら(北見工大)らによって、300以下の低いレイノルズ数の流れについて求められている値に一致すること;(iv)低周波の振幅変調は、カルマン渦列のスパン方向の大規模な3次元構造によって引き起こされることが明らかになった。 (5)ウエーブレット変換およびPODによる、乱流混合層のデータベースの解析を行ない、構築したソフトウエアがこの流れにも有効であることを確認した。
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