研究概要 |
1.箱型の大型車両模型を風洞測定部に設置し,車体後面近傍の流れ模様を煙法により可視化し,渦の生成・成長過程を明らかにした。とくに車体下部から巻上がる渦が最も大きく,この渦が雪煙の発生原因であることを確認した。 2.車体後面下部から発生する大規模渦の生成・成長を抑制するために,後縁を鋸歯状にしたスポイラーを車体下部に取り付け,可視化法により車体後方の流れ模様を調べた。その結果,スポイラー後縁の三次元攪乱効果により二次元的な大規模渦の生成が抑制され,このスポイラーは雪煙防止に有効であることが確認された。 3.上述のスポイラーの効果を詳細に調べるために,傾斜平板後方に発生する渦の挙動を風洞実験により定量的に調べた。測定は熱線風速計を用いて行われ,変動速度の周波数解析および強さ分布により渦のスケールと強さを検討した。その結果,平板後縁の三次元撹乱は渦のスケールを小さくすることが確認された。また,平板の傾斜角と三次元攪乱粗さの影響も調べ,傾斜角は水平面に対して30度,攪乱粗さはせん断層の三次元不安定を促進するスケールが好ましいことを明らかにした。また,渦の三次元変形については,非円形渦の研究結果と比較検討し,その特性を渦力学的に明らかにした。 4.実際の走行状態に近い実験を行うために,ムービングベルト上に大型車両模型を設置して風洞実験を行った。実験では,タフト法による可視化,熱線流速計による速度測定を行い,とくに車体後方の流れ模様を詳細に調べた。その結果,三次元攪乱を発生するスポイラーを取り付けた車両では,スポイラーを取り付けない場合と比べ,車体後方の大規模渦の発生が抑制され,雪煙の発生が防止されることが確認された。 5.本研究により大型車両より発生する雪煙の防止策に対する指針が得られたが,今後実車実験により提案された防止策の効果を確認することが必要である。
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