研究概要 |
次世代高効率石炭利用システムにおける最大の課題の一つは、高温ガスからの灰粒子の高効率除去である。本研究は、比較的低温場では技術的に確立している電気集塵器を高温高圧下で使用するために、高温高圧電気集塵システムにおける種々の熱電気現象、およびこれに及ぼす温度、圧力、あるいは電極様式などの影響を放電特性を十分ふまえた上で明らかにし、高効率な高温高圧電気集塵を実現するための基礎的な知見を得ることを目的としている。 本年度は、円筒型電極(内径50mm,測定部長さ200mm)と中心軸上の細線電極(0.1mmφ)からなる一次元高温高圧(仕様:5気圧、700℃)用の電気集塵器を設計製作し、まず、昇温だけ、加圧だけ、および両者を合わせた場合に、放電様式やプラズマ構造がどのように変化するかについて、そのメカニズムに重点を置いた検討を行うとともに、集塵特性について予備的検討を行った。得られた主な結果は次の通りである。 (1)常圧下で等しい印加電圧のもとでは、温度の上昇とともに電流値が急増し電力消費が増大する。 (2)常温下で等しい印加電圧のもとでは、圧力の上昇により電流値が減少する。 (3)上記の結果より、高温電気集塵で高電圧印加・微小電流値のコロナ放電を維持するためには、高圧化が極めて有効であることが明かとなった。この現象は、平均自由行程の温度・圧力依存性によって良く説明できる。 (4)常圧下で等しい電流値のもとでは、温度の上昇とともに集塵効率は低下する。これは、印加電圧の減少により、中心細線電極近傍でのガスの電離効率、および帯電した微粒子の移動速度が低下したためである。 (5)以上より、次年度以降の本格的な高温高圧電気集塵特性に関する研究の基礎を確立した。
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