研究概要 |
本研究では,非定常燃焼と燃料濃度分布の不均一性の関係を明らかにすることを目的とし,燃料濃度分布をレーザシート法や高速応答FID法により計測することで以下の成果を得た. 非定常燃料噴霧燃焼については,まず非燃焼蒸発噴霧にシリコンオイル粒子散乱光法を適用し,噴霧断面内の燃料蒸気の運動を毎秒2万コマの速度で時系列画像データ(3次元データ)として捉えることに成功した.これにより,従来の1つの瞬時画像(2次元データ)からはわからなかった,燃料蒸気の渦運動を明瞭に捉えることが出来た.次に同手法を噴霧火炎に適用し,噴霧断面内の着火の様子を高速度撮影することで,噴霧の着火は噴霧先端の上流部で発生することを明らかにした.さらに弾性散乱光法による火炎内すすの可視化とPIV法により,噴霧火炎内すすの2次元速度分布を計測し,火炎内のすすは噴霧先端に存在する1対の大規模渦によってその上流部に運ばれた後,周囲の空気と強く混合され酸化消滅することを明らかにした. 予混合燃焼については,点火前の混合気の空間分布が燃焼や排気に大きな影響を与えるため,異なる当量比を持つ予混合気が隣り合うような場での燃焼現象の把握が必要と考えられる.そこで仕切板を有する定容容器内で異なる濃度のプロパン(またはメタン)-空気予混合気を充填し,仕切板を取り除いて点火し,その燃焼過程を調べた.高速応答FIDによる空間濃度測定と未燃炭化水素料の測定,シュリーレン撮影,指圧計測,LDVによる流れ場の測定,イオンプローブ計測などによる解析の結果,オーバオールの当量比は同じになるようにして,均一予混合燃焼させた場合よりも層状燃焼させた場合の方が燃焼速度は大きく,未燃HCの排出は多くなる傾向にあること,この現象の一因として選択拡散効果が挙げられることなどを明らかにすることができた.
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