| 研究概要 |
1.実験的研究においては,前年度に引続き,(1)偏平柱,または(2)分離板を付設した角柱をそれぞれ平板乱流境界層中に挿入する場合について検討を行った.その結果,本年度の実績として,(1)については,偏平柱の挿入高さ位置を変更しても,偏平率が熱伝達率,摩擦係数および相似性パラメータに及ぼす影響は昨年度までの結果と類似していることが分かった.(2)については,分離板の長さを変更して乱流信号を採取し,その信号に昨年度開発したウェーブレット変換を施した.その結果,分離板が短い場合には,角柱後流のカルマン渦放出に同期して,平板面近傍においても非相似性の強化につながる要素運動(インタラクション運動)が強化される.またその一方で,分離板が長い場合には,要素運動の強化が生じず,非相似性の程度も小さくなるなど,カルマン渦運動の強弱が非相似性発現の強弱と良好に対応することを示した.
2.数値解析的研究においては,前年度までに作成した(1)層流境界層,(2)乱流境界層の非定常熱流動計算コードを用いた計算を続行した.その結果,本年度の実績として,(1)においては,角柱と平板のすき間をパラメータとして変更すると,流れの非定常特性が変化すること,定常流下では非相似性は発現せず,その一方で非定常流下では角柱下流においては統計的な非相似性が発現することが分かった.また,その非相似性はカルマン渦の放出と対応して発現する瞬間的な非相似性と関連することが分かった.(2)においても,定常計算の場合には非相似性は発現せず,非定常計算を実行してはじめて実験値と良好に対応する統計的な非相似性を予測し得ることが分かった.また,この場合の非相似性もカルマン渦の放出と対応して発現する瞬間的な非相似性と関連することが分かった.
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