研究概要 |
平成7年度は熱分解・圧縮自発着火過程の反応モデルの枠組みの開発を行った.先ず,圧縮自発着火過程の反応モデルの開発を行った.このモデルは,燃料C_mH_nについて C_mH_n+(m/2)O_2=mCO+(n/2)H_2 なる反応によってCOとH_2に分解後,COとH_2を含む詳細な反応メカニズムとリンクすることによって圧縮自発着火過程を記述するモデルで,このモデルを乱流混合を伴う不均一反応を記述する確率過程論モデルに組み込み,実験によって得られたディーゼル燃焼の着火遅れと比較することによって上記反応の速度定数を定めた.その成果は,IPC-8 Technical Peperにて発表した. 続いて,熱分解を含む圧縮自発着火過程の反応モデルの開発を行った.このモデルでは,熱分解過程として,Rice-Herzfeld機構によって最終的にオレフィンと炭化水素ラジカルが生成する以下のようなグローバル反応を仮定した. C_mH_n+M=aC_2H_4+bC_2H_5+M ここに,aおよびbは質量バランスから定まる定数である.また,この機構における創始反応 RH+(M)→R+R+(M) の圧力依存性の検討を行った結果,ディーゼル燃焼の圧力では高圧限界に一致することを明らかにした.さらに,熱分解後の反応はエチレン燃焼の反応モデルとリンクすることによって上記の圧縮自発着火過程の反応モデルとほぼ等しいディーゼル燃焼の着火遅れを予測できることを示した.このモデルによって熱分解成分の生成予測が可能となったので,次年度は,熱分解成分の重・縮合によるPAHおよびすすの生成予測について検討する.
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