2つのアクチュエータのみを用いて任意関節数のマニピュレータを可制御にするための機構の理論設計を行った。アクチュエータの角速度は特殊な非線形無段変速機である非ホロノミック・ギアを介して各関節に伝達する。 複雑な非線形システムとなる非ホロノミック・マニピュレータの運動学モデルの制御のため、比較的扱いやすい正準系であるチェインドフォームへの変換を行い、非ホロノミック・マニピュレータの制御則を確立した。ある初期状態から目標状態まで制御するために時間多項式入力、三角関数入力などの運動計画法、指数関数的収束性を持つフィードバック制御、チェインドフォームの疑似線形化によるフィードバック制御則などを確立し、シミュレーションでその有効性を確認した。 上記の理論的背景を元にその機構を実現するために機械的動力伝達の限界を考慮した上で機械設計、必要な力学的解析を行い、プロトタイプを試作した。プロトタイプは関節数を自由に変えられるようにモジューラ構造になっている。確立した制御則を適用してプロトタイプを用いて基礎実験を行い、非ホロノミック・マニピュレータが位置制御可能であることを実証した。 現在、障害物回避問題などを考慮したより実用的な運動計画法、与えられた実現可能な軌道に対するトラッキング制御則の開発などに重点をおいて研究を進めている。
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