研究概要 |
100N程度の力で0.3mmの直線運動を1ms以内で作動する電磁アクチュエータの開発を目的に、国内で開発されたTbDy(FeMn)_2合金からなる超磁歪素子を用いることを考え、その静特性と動特性を調べた。 (1)磁気バイアス型超磁歪素子の磁界の強さと歪み率の特性試験: 磁気歪みを大きくするため、油圧によるプレストレスとサマリウム-コバルトの永久磁石を磁歪素子の間に6枚サンドイッチし磁気バイアスをかけたものを作製した。そのサイズは直系10mm,長さ76mmで約1400ATの起磁力で、500ppmの歪み率をえることができた。歪み率は必ずしも大きくないが、当初予定した基本性能を確認した。 (2)逆パスカルの原理を用いた変移増幅機構: リンク式の機械的増幅機構に代わり、パスカルの逆原理を用いた流体増幅機構を用い、コンパクト化とプレストレスの調整容易化をはかり、その出力特性(変位-力の静特性と動特性)を調べた。これまで、力:100N,変位:0.3mm、周波数特性:200Hzは作動することができた。しかしながら、油圧シールからの油漏れと、チェックバルブの応答速度に問題があり、流体増幅用の流体の逆流があり、磁歪素子は作動しているが、増幅機構が設計値通りに正常に作動していない。これについては、平成8年度引き続き継続研究開発を行う。 (3)FEMによる非定状磁場解析: 高速作動時の渦電流の影響を調べることができた。超磁歪素子の透磁率は空気の4倍程度と鉄(2000程度)に比べ大変小さいので、磁束の誘導に強磁性体から、アクリルのような導電性でなくかつ磁性体でないものを使用しても影響は少ないと考え渦電流の影響を調べた。歪み率は20%小さくなったものの、渦渡特性における渦電流の影響は少なくなり応答は30%上昇した。実用的には歪み率が優先されるので、磁気回路特性より機械的特性を良くするため高い剛性をもつボディに超磁歪素子を保持することが大事でああることが分かった。
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