研究課題/領域番号 |
07455120
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辻 毅一郎 大阪大学, 工学部, 教授 (30029342)
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研究分担者 |
伊瀬 敏史 大阪大学, 工学部, 助教授 (00184581)
三谷 康範 大阪大学, 工学部, 助教授 (10192759)
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キーワード | 電力系統 / 超伝導エネルギー貯蔵 / 高速移相器 / 系統安定化制御 / インバータ / FACTS |
研究概要 |
本研究では、高速移相器に超伝導マグネットを用いたエネルギー貯蔵機能を加えた装置を提案し、この装置の制御方式とその効果についてシミュレーションと実験によって検討することを目的としている。 平成8年度は、平成7年度までに製作した高速移相器と蓄積エネルギー10kJの超伝導マグネット(141A,1H)を接続し、実験を行った。系統に直列に接続された3台の単相インバータ、並列に接続された三相インバータ、超伝導マグネットの充放電制御を行うチョッパの合計5台の電力変換器を同時に制御し、直流コンデンサ電圧の確立、超伝導マグネットの充電から定常運転状態への移行、三相短絡事故後の系統安定化制御、安定化制御後の超伝導マグネットのエネルギーの回復、といった一連の動作を行うことに成功した。なお、試作装置の定格は、直列インバータが2.6kVA×3台、並列インバータは4.6kVA、チョッパ回路は10kWである。系統安定化制御の実験において制御に必要なエネルギー吸放出を超伝導マグネットから行うため、超伝導マグネットが無い場合と比較して、系統に与える影響が少なくなることを確認した。 系統安定化制御のシミュレーションにおいては、発電機端母線電圧の位相を基準にした新たな制御方式を導き、シミュレーションと実験により、その効果を確認した。また、2機系統を対象とした系統安定化制御系を厳密空間線形化法を適用して導出し、その効果を詳細に検討した。 今後、系統安定化制御に加え、装置の有効活用のために、負荷変動に伴う有効電力変動補償や電圧変動補償、高調波電流・電圧の同時補償などの実験へと発展させていく予定である。 なお、以上述べたように、この装置の系統安定化制御効果が実証されると共に、負荷変動補償、高調波や波形歪みの補償など多岐にわたる総合的な系統制御装置としての適用可能性が明らかになってきた。そこで、超伝導エネルギー貯蔵装置(SEMS)を高性能・高機能化させた万能型の機器の意味で、提案装置を高性能SMES(SuperSMES)と呼ぶこととし、引き続きその総合的な効果を実証していくこととした。
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