研究概要 |
超電導マグネットの強力な磁界を利用して高電圧・大容量の直流発電/電動機を実現し将来の超電導長距離直流送電用の高効率の交直変換装置や、超電導エネルギー貯蔵装置(SMES)用の入出力装置、あるいは、50ノット以上の高速船用の推進装置等への応用を狙って超電導単極機の高電圧化の研究を進めているが,今年度は新規に稼働を始めた冷凍機冷却型の超電導マグネットを用いて本実験を行った。その結果、以下の知見を得た。 (1)起電力の確認 本年度から本格的な運転を開始した常温ボア150mmのヘリウムフリー冷凍機冷却型の超電導マグネットシステムを用いて4Tの磁界を発生し,その中で回転円板を回転させた。その結果、円板1枚当たり0.6Vの起電力があることを確認した。また,この起電力は理論値とよく一致していることを確かめた。 (2)回転円板により磁束が遮蔽されないことの確認 ソレノイドコイル中の単一の回転導体円板による磁界の遮蔽効果をホール素子を用いて測定した。その結果,軸対称磁場中に円形回転板が回転しても磁束は遮蔽されないこと,また電機子電流が流れても磁束には変化がないことを確認した。この事実は、電機子円板を多重に接続しても磁束は弱まらないことを意味しており,本方式の基本的な可能性が確認されたものである。 (3)概念設計の実施 500MW(50kV,10kA)の容量を持つ単極発電機の概念設計いを行った。直径3mの電機子円板を合計100枚直列に接続し,これを毎分回転数1500rpmで回転させれば,一枚当たり500Vの起電力が得られ,これを100枚直列に接続すれば所期の起電力が得られることが判った。
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