研究概要 |
電気ガス絶縁システムで多量に使用されているSF6ガスは,地球温暖化とその分解有毒性から現在(平成8年10月から)我が国において,取扱基準の策定が進められているが,環境負荷の軽減の目的から将来完全な漏洩防止とリサイクル技術の確立が強く要請されている。 正イオン,負イオン,中性分子等の分解生成物の計測用に導入したマスフィルター型ガス分析計(平成7年度設備備品)を用いて,各種不純物を想定した混合SF6ガス中のコロナ放電分解生成物を計測している。特に,高純度H2Oガス導入装置(平成8年度設備備品)から利用できる99%の純度のH2Oガスを確認すると共に,多針電極-平板電極配置の導入により加速劣化試験の可能性を検討している。さらに,長期運転中GISでの分解生成物の経時変化をモニターするためのセンサーの開発を計測メーカーと共同で進めている。また,コロナ放電のみでなく電力しゃ断器でのアーク放電での高温SF6ガスでの分解生成物の計測がメーカーから要望されている。 平成8年度の研究成果つぎのものに要約できる。 (1)SF6ガス中のH2OとO2の単独不純物混入よりも,同時混入の方が有毒分解生成量が増大する。 (2)H2Oガス混入は,HF生成により金属と強く反応し,固体分解生成物を多量に発生し,電気絶縁性能劣化の主要な原因となりうる。 (3)レーザ生成プラズマの計算コードの開発は,レーザ質量分析器の可能性を探る基礎データを供給する。
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