研究概要 |
電気ガス絶縁システムで多量に使用されているSF6ガスは,地球温暖化とその分解有毒性から現在(平成8年10月から)我が国において,取扱基準の策定が進められている。平成9年12月京都で開催されたCOP3でSF6ガスは使用規制ガスに決定された。環境負荷軽減の目的から将来完全な漏洩防止とリサイクル技術の確立が強く要請されている。 平成9年度は本研究の最終年度となるため次の研究を行なった。 (1)熱分解を含むスパーク放電での,SF6ガスの有毒分解生成物の計測と絶縁性能に与える効果を調べた。 (2)レーザ放電プラズマの生成過程の計算コードを開発した。この研究は放電生成物が気体加熱を含む絶縁破壊にどのように作用するか,明らかにするものである。 (3)正極性直流コロナ放電のイオンドリフト空間にレーザを照射して,NOxとSOxを分解する非熱平衡プラズマで高エネルギー電子を含むストリーマの制御を試みた。 平成9年度の研究成果つぎのものに要約できる。 (1)SF6ガスのスパーク放電による有毒分解生成物量は,O2とH2Oガス不純物の混入によりあまり影響を受けなかった。その理由は電極からこれらの不純物ガスが熱作用により放出されることによる。有毒生成物の低減には電極表面処理の必要性が確認された。 (2)絶縁性能については,有毒生成ガスはほとんど影響を与えない。しかし,電極表面劣化が電気絶縁性能劣化の主要な原因となりうる。 (3)レーザ生成プラズマの計算コードの開発が行なわれ,電子と正イオンの再結合が気体加熱に最も寄与することが判明した。 (4)従来のストリーマ放電利用によるガス分解処理に比べて,レーザ誘導ストリーマの利用は極めて制御性能を改善できることを示した。
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