研究概要 |
本研究では、本研究代表者らが発明・開発したLFB超音波顕微鏡システムと超高周波バルク超音波計測システムを使用した「圧電単結晶弾性関連物理定数決定法」を新しく開発し、LiNbO_3とLiTaO_3の単結晶に対して、弾性表面波及びバルク波速度値で5桁の有効数字を与えられる弾性関連物理定数のすべての独立な成分を高精度に測定・決定することを目指した。 1.高精度測定用バルクおよびLFBシステムの確立: 測定の高精度化と再現性向上のために、測定環境と基準温度の長期的な安定化を図り,絶対距離測定用レーザー測長器を導入した。また、絶対計測システムとして完成するために、GGG (Gadolinium Gallium Garnet)単結晶を標準試料としたシステム校正法を開発した。音速測定において絶対精度±0.01%、相対精度±0.001%を達成した。 2. LiNbO_3とLiTaO_3の測定試料の作製:直径100mm、長さ60mmのコングルエント組成のLiNbO_3単結晶およびLiTaO_3単結晶から物理定数測定と精度確認のために必要な各種結晶面基板を面精度5分以内、平行度10秒以内で用意した。 3.新「圧電単結晶弾性関連物理定数決定法」の開発: 高精度に定数を決定するために、バルク波速度とLSAW速度を混用した方式とプログラムを開発した。 4.弾性関連物理定数の決定: 測定したバルク波速度とLSAW速度と密度を用いて、新定数決定法に基づいた計算機フィッティング法により、音速換算で±0.01%の絶対精度で定数を決定した。 5.多分域試料の弾性関連物理定数の決定と比較: 熱処理により多分域化した(圧電消失)LiTaO_3試料に対して、弾性関連物理定数を決定し、単分域試料の物理定数と比較検討し、その相違を明らかにした。
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