研究課題/領域番号 |
07455130
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
田中 国昭 千葉大学, 工学部, 教授 (10015042)
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研究分担者 |
国吉 繁一 千葉大学, 工学部, 助手 (30092050)
工藤 一浩 千葉大学, 工学部, 助教授 (10195456)
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キーワード | トンネルスペクトル / 有機超薄膜 / 有機単分子膜 / STM / AFM / 高密度記録 / 電界書き込み / 吸着LB膜 |
研究概要 |
今年度は主としてメタライズしたAFM探針を用い、微小領域における電界書き込み、読みだし特性を検討し、同時にAFM像の測定を試みた。書き込み、読みだし特性は、電圧パルス印加による電流-電圧特性、非弾性トンネルスペクトルの変化で評価した。有機膜(記録膜)材料としては、高電圧印加による電気的スイッチング現象が報告されている鉛フタロシアニン蒸着膜および重合性分子であるジアセチレンモノカルボン酸LB膜を用いた。電流-電圧特性の測定は室温および試料を100[K]に冷却して行った。非弾性トンネルスペクトルは電流-電圧特性の数値微分により、あるいは新規に導入したロックインアンプによる1次微分信号数値微分することにより得た。以下に、得られた結果を示す。 1.鉛フタロシアニン蒸着膜に探針を負に電圧パルスを印加すると高抵抗状態から低抵抗状態へのスイッチングが再現性よく観測された。蒸着電極を有するサンドイッチ構造の試料で観測されるスイッチング現象にに比較してスイッチング速度が速い。 ジアセチレンモノカルボン酸LB膜については 2.探針を正に電圧パルス(5V程度)を加えるとSTM像には直径20nm程度の痕跡が現れるが、AFM像このような痕跡は観測されないことから、STM像の痕跡は電圧パルスによるジアセチレン膜の導電率変化を示唆している。 3.探針を用いた非弾性トンネルスペクトル測定を検討するために、固定電極サンプルに対して変調法を用いて得たスペクトルと、探針を用いた電流-電圧特性の数値微分によって得られたスペクトルを比較し、O-H、C-H、C=C伸縮振動のピークは一致する結果を与えている。このことは、探針を用いた非弾トンネルペクトル測定が可能であることを示唆している。
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