研究課題/領域番号 |
07455135
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
木村 忠正 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (50017365)
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研究分担者 |
斉藤 理一郎 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (00178518)
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キーワード | 希土類イオン / エルビウム / イッテルビウム / ポーラスシリコン / フォトルミネセンス / シリコン光デバイス / 蛍光寿命 |
研究概要 |
多孔質シリコン(PS)中にドープした希土類イオンの4f-4f電子遷移のフォトルミネセンス強度およびスペクトルの、母材PS依存性、プロセス依存性を調べ、室温発光効率の増加を図ると共に、希土類イオンの励起のメカニズムを調べた。当初の計画では、Er^<3+>の1.54μmの発光のみを考えたが、Yb^<3+>、Nd^<3+>の発光の観測にも成功し、この3種類の希土類イオンの発光を総合的に研究した。特に、Yb^<3+>イオンの4f-電子エネルギー準位は2つだけであるため、Yb^3イオンが電子- 正孔対の再結合エネルギーにより励起されることが保証され、PS/Ybの系により、電子-正孔対の再結合を介した希土類イオンの励起メカニズムを明確に調べることができた。以下にその成果を示す。 1.Ybドープ多孔質シリコン(PS)の発光と蛍光寿命:Ybドープ多孔質のシリコンのYb^<3+>4f-4f電子遷移に関する〜1.0μm発光強度のプロセス依存性を詳細に調べ、母材多孔質のシリコンを酸素雰囲気中900℃の前処理により、1桁以上の発光強度の増加が得られた。この試料の蛍光寿命測定を行い、初期の蛍光寿命が低温で〜300μs、室温で〜40μsと、これまでに報告された結晶半導体中の希土類イオンの蛍光寿命の温度特性の傾向とは異なる結果が得られた。この結果を基にして、多孔質シリコン母材とYb4f電子とのエネルギー移送メカニズムのモデルを提案した。 2.Erドープ多孔質シリコン(PS)の発光の水素プラズマアニール処理依存:PS中に電気化学的にドープしたErイオンをバイアス印加水素プラズマ処理を行うことにより、Er1.54μmでの室温発光ピーク強度の一桁以上の増加と、半値幅が1nm程度の鋭いスペクトルが得られた。また、従来の酸素アニール処理に比べて3桁以上の抵抗の減少が得られ、EL素子への道を開いた。 3.Ndドープ多孔質シリコン(PS)の発光:PS中にNdを電気化学的にドープし、O_2、H_2雰囲気中、およそ1000℃以上のアニール後に、0.9μm、1.1μm、1.4μmのNd4f電子に関する発光を世界で初めて観測した。
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