研究課題/領域番号 |
07455142
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
広瀬 全孝 広島大学, 工学部, 教授 (10034406)
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研究分担者 |
宮崎 誠一 広島大学, 工学部, 助教授 (70190759)
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キーワード | 化学気相成長 / シリコン量子ドット / 自己組織化 / 室温量子効果 / フォトルミネッセンス / 可視域発光 / 光電子スペクトル / 帯電 |
研究概要 |
モノシランガス減圧化学気相成長(LPCVD)の初期成長過程を精密制御することで、シリコン酸化膜上にナノメートル寸法のSi量子ドットを自己組織的に形成した。ドットサイズの堆積温度依存性からドット成長の活性化エネルギーを評価した結果、半球状のSiドットの高さ方向と横方向の成長は、Si原子の凝集とモノシランガスの熱分解過程にそれぞれ支配されていることが示唆された。また、原子レベルで平坦なSiO_2/Si(111)表面を用いて、Siドットの形成位置とSiO_2表面の原子レベルの微細な凹凸の相関を評価したが、有意な差は認められず、結晶核はランダムに発生していることが明らかになった。更に、個々のSiドットにおける高分解能透過型電子顕微鏡観察で、基板に対して約60度傾いたSi(111)面格子縞が明瞭に確認されたことより、(100)面が基板面と平行に成長することが分かった。これは、Siドットの成長が、表面自由エネルギーが最小となる<111>面で優先的に進行するためと考えられる。 表面を薄い熱酸化膜で覆ったSiドットにおいて、可視域(発光ピークエネルギー1.5eV)に室温で高率的なフォトルミネッセンスを確認した。励起エネルギー2.54eVおよび3.8eVのそれぞれにおいて、発光スペクトルのピーク位置とスペクトル形状に大きな変化は認められないことから、この試料では主として光学バンドギャップ2.54eV以下のSiドットが、この発光に寄与していることが示唆された。 酸化膜上のSiドットのX線光電子分光測定により得られたSi2p光電子スペクトルにおいて、ピーク位置はバルクSiの場合に比べ約0.5eV高結合エネルギー側に観測された。これは、X線照射下でSiドットが帯電したことに起因すると考えられる。さらに、Si2p光電子スペクトルの半値幅は水素化アモルファスSiの場合にくらべて約2倍大きいことから、ドットサイズにばらつきがあるため、ドットのチャージングエネルギーに分布が生じていることが示唆される。
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