研究概要 |
1.希土類(RE)-鉄族(TM)アモルファス合金薄膜の磁気光学効果 (1)Yb-Co薄膜を作製し,その磁気及び磁気光学効果を測定した。この結果,Ybは合金薄膜中では3+イオンではなく、2+イオンとなると推定された。このためYbは磁性を持たず,その特性はLa-Coに類似したものとなっている。 (2)Gdが0-50%の幅広い組成範囲のGd-Co薄膜を作製し,磁気光学カー効果を測定した。Gdは他の希土類と違って,Gdの組成が増えた場合のCoの磁気モーメントの減少がわずかであり、高濃度領域のカ-回転角が比較的大きいことが判明した。カ-回転角の測定データの解析から,GdおよびCoの副格子磁化からの寄与を分離し,磁化にかかる比例定数のスペクトルを決定することができた。 (3)本研究の結果と,他研究者による論文のデータを用いて,RE=Euを除く全てのRE-Coについて,その磁気構造を明らかとすることができた。 (4)光磁気メモリ媒体として実用化されているRE-Fe_<0.80>Co_<0.20>系薄膜について,REの寄与を分離することができた。 2.Mn系新化合物あるいは人口格子膜の開発の研究 (1)既存材料であるが、MnBiについては,低温において在来理論からは説明できない程度のカ-回転角の増大が測定された。楕円率,反射・透過率の測定データを併せて誘電率テンソルの各成分を算出し,そのスペクトル及び温度依存性を明らかにした。そして,カー効果の起源がMnの3d↓より3d↑へのバンド間遷移によることを明らかとした。 (2)Mn系の新しい材料の開発については,報告できるような良い結果は未だ得られていない。
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