研究概要 |
圧延機駆動系を念頭におきながら,その速度制御系の設計において軸ねじれ振動を抑制し,かつインパクトドロップを低減する新しい制御手法の開発,とくに,PID制御などの古典制御から,外乱オブザ-バを用いる独自の手法,状態フィードバックなどの現代制御,さらにH∞制御などポスト現代ととよばれる手法までさまざまな制御法を実験的に試みることが本研究の目的である. まず,研究経費の大部分をしめる『軸ねじれ系実験装置』に関しては,ベクトル制御を施したBLDCモータ,可変バックラッシュ機構,可変摩擦機構,負荷装置などを一つの常盤上に配置した実験装置を設計し,三菱重工への発注を行い,9月中旬に納入された.制御系の設計に当たっては,1.設計法が明快であること,2.現場の調整がやさしいこと,3.制御器の次数が高くないこと,4.バックラッシュやトルクリミットに強いこと,5.できればn慣性系のコントローラはn-1慣性系のコントローラ+αという構造をもつこと,6.制御対象の特性を生かすこと,7.適応的手法との相性がいいこと,などの項目が重要であり,今回設計した実験装置は,これらの項目を検証するに十分な特性を備えていると考えられる. 理論面に関しては,1.柔軟システムの諸種の制御法の調査,2.制御法の分類,3.検討モデルの作成,4.新しい制御法の提案,5.制御系設計CADによる設計とシミュレーション,6.実験による検証という研究計画に述べた項目についてそれぞれ進展を見ており,外乱オブザ-バを用いた共振比制御における外乱の推定速度に関する詳細な検討を行い,シミュレーションによって興味深い結果を得ている. 現在,上記の実験装置を用いて各制御手法の比較検討を行っており,今後ともこの装置を用いた実験と設計を繰り返しながら研究を進める予定である.
|