研究概要 |
本研究は、パルス性電磁波の発生源として重要な静電気放電を取り上げ、放電源の近傍電磁界を表す適切なパラメータおよび電磁界センサの特性を定義し、それらを高精度で測定できる手法を開発し、電磁界の測定結果から静電気放電による高速パルス性電磁波の発生メカニズムを解明することを目的としている。 本年度は、平成7年度に試作した微小ギャップ電極間放電装置および放電電流測定装置各部の時間領域特性をチェックして改良を加え、放電電流測定の再現性を向上させた。また、アンテナから放射される電磁界の分布をセンサを走査することにより測定し、この結果と、理論計算による結果を比較検討することにより、測定場の周辺の反射による影響などが十分無視できる程度であることを確認した。この結果、高精度な複素アンテナ係数測定を実現した。 改良した実験システムを用い、放電電極全体を放射源とみなして電流波形から理論的に計算した電界波形および磁界波形と、実際に測定した波形を比較検討した結果、両者は定性的には一致するものの、立上がり時間などでは差が認められた。このため、過渡電磁界発生モデルを、放電路形成過程での電荷移動に対応する微小ダイポールアンテナからの電磁界と、放電路が形成された後で電極を流れる電流による電磁界からなるモデルに変更し、測定結果と理論計算の結果を比較検討した結果、測定結果をよく説明することができた。 これらの成果をまとめ、平成8年11月に中国の西安において開催された「アジア太平洋環境電磁工学会議」において2件の中間発表を行うと共に、開催会場において他研究者と本研究課題に関して,意見交換・情報収集等の調査をあわせて行なった。
|