研究課題/領域番号 |
07455181
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
家村 浩和 京都大学, 工学研究科, 教授 (10026362)
|
研究分担者 |
井上 晋 大阪工業大学, 工学部, 助教授 (30168447)
高橋 良和 京都大学, 工学研究科, 助手 (10283623)
五十嵐 晃 京都大学, 工学研究科, 助教授 (80263101)
渡辺 史夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (50026267)
|
キーワード | 高橋脚 / 中空断面 / 鉄筋コンクリート / せん断破壊 / 曲げ破壊 / 模型実験 / ひび割れ進展 / 終局耐力 |
研究概要 |
本研究では、中空断面を有する鉄筋コンクリート部材の耐震性に関する基本的諸特性を明らかにすることを目的として橋脚模型を作製し、その載荷実験を行い次の結果を得た。 1.中空断面供試体において、フランジ部に当たる断面では曲げひび割れが生じるが、ウェブ部にひび割れが進展するとせん断ひび割れへと変化している。これはせん断破壊を生じた供試体だけでなく、最終的に曲げ破壊を生じた供試体でも同様の性状を示している。このことは中空断面特有のウェブ幅の薄さに起因しているものと考えられ、中空断面採用に際してはせん断耐力の問題を充分に検討する必要がある。 2.せん断スパン比によって曲げ破壊とせん断破壊とに分かれ、スパンの短い供試体はエネルギー吸収能に劣り、脆性破壊を呈した。これは破壊形式がせん断スパンに大きく影響されることを示しており、設計においてはせん断スパン比、ウェブ幅などを適切に決定するよう細心の注意を払わねばならない。 3.実験データを曲げ変形とせん断変形に分離した結果、曲げ破壊を生起する場合においても、繰り返し載荷の進行に伴ってせん断変形の影響が増大していることが明らかになった。従って中空断面部材を用いた構造物の弾塑性地震応答解析等をする場合に曲げ変形のみを考慮した解析では限界があり、仮定する履歴復元力特性等に、せん断力が与える影響を考慮すべきである。 4.本実験では高軸力を導入して載荷を行った。その荷重変位曲線において、軸力が作用する部材は軸力による圧縮力のため、圧縮鉄筋の座屈、かぶりコンクリートの剥落等が助長されて変形性能が劣るという傾向を認めることができる。即ち、高軸力がかかるような部材の場合は変形性能を向上させるためにせん断補強筋比を大きくするなどの対策が必要である。
|