研究概要 |
平成9年度の研究では,部分合成橋脚柱のコンクリートの必要充填高さ,および効果的な充填方法について,検討するために,鋼製柱,および部分合成柱あわせて14体の実験供試体に対して,静的繰返し変位載荷実験,漸増繰返し変位載荷実験,ならびにハイブリッド実験による地震応答シミュレーションを実施した. 本年度の研究で得られた主な成果をまとめると,それらは,以下のとおりである. i)柱基部のみにコンクリートを部分的に充填した合成柱の実験供試体の鋼断面部が局部座屈した場合,合成柱としての本来の効果は,期待できない. ii)幅厚比パラメーターがR=0.34の鋼製橋脚柱,および合成橋脚柱,ならびに外側鋼板と充填コンクリートとをスタッドにより一体化した合成橋脚柱は,高い変形性能を有している.しかしながら,この高い変形性能のゆえに,溶接部に集中して負担を強いるため,脆性的で危険度の高い崩壊モードとなる場合がある.したがって,弱点箇所となり易い溶接部には,適切な補強を施す必要がある. iii)漸増繰返し変位のような多数の繰返し変位を受ける場合,充填コンクリートの座屈防止機能も期待できない場合もあり得るため,コンクリートの充填高さは,以下の式を目安にして決定するのがよい. ここに,M_<pp>:合成断面の全塑性曲げモーメント,M_<yp>:合成断面の降状曲げモーメント,M_<pps>:鋼断面の全塑性曲げモーメント,M_<yps>:鋼断面の降状曲げモーメント,L:載荷長,およびL_c:コンクリート充填高さ,である.
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