研究概要 |
土の間隙径分布の計測法として提案している「空気圧入法」は,土の複雑な間隙を毛管の集合体とみなす毛管モデルの仮定に基づいており,飽和土試料への空気圧入によりその圧入圧力と空気透過量の関係から求めるものである.本方法の精度等について検討した結果, (1)毛細管モデルそのものである毛細管模型に対する実験で計測原理・整理法の妥当性を検証した. (2)本方法による間隙径分布は水銀圧入法によるものと遜色なかった.しかし,空気流に垂直な方向の間隙を評価し難いためか,水銀法によるものより若干小さくなる傾向にあった. (3)細砂・粗砂に分類される土試料についての計測の適用性が検証された. また,計測した間隙径分布と粒度の関係について調べた結果, (4)間隙径分布は粒度の約1/3の大きさに位置し,その平均間隙径は平均粒径,間隙比と良好な関係で表現された. (5)平均間隙径は粒度の細粒分粒径(有効径など)と相関が高かく,間隙の大きさは細粒分の粒径に支配される傾向にある. 一方,球形粒子を砂層に注入する実験では,間隙径分布と注入材粒度について, (6)浸入可能と判断される注入材の平均粒径は砂の平均間隙径の約4割であった. (7)浸入可能な球形粒子の粒径相当の大きさの間隙が多く存在することが推定され,複雑な間隙構造を毛管モデルで表現し計測する間隙径は,実際の間隙の大きさを過大に評価している懸念があると考えられた.
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