本研究では、流通チャネルという新たな概念に基づく物流実態の把握および物流施設整備計画のあり方について分析・考察を試みた。特に、現状の都市内物流施設整備に関わる問題点や、流通チャネルの意義を整理し得たこともが研究の主要な成果といえる。また実態調査データを用いた定量的な分析結果からは、下記の諸点が明らかにされた。 (1)物資流動を広域レベルと都市内レベルに分け流通チャネルを分析することで、地域格差による相違点について明らかにした。また同時に品目をグループ化し各グループごとの特性を詳細に捉えることができた。 (2)物流施設の整備位置の決定やそのときの整備効果を予測する一つの方法を提案した。その結果、下記の事項が確認された。 1)広域物流施設の場合、調布周辺など主に東京から西方面で、整備効果(単独で整備した場合の整備効果)の期待できる地区が多い。 2)シミュレーション分析より広域物流施設の場合、西方面を除く4地区で既存の広域物流施設の若干外側に位置し、既存の広域物流施設配置が妥当性である、 これらの成果より、本研究で提案したように、各物流施設を経由する品目ごとに流通チャネルを細かく分析することで、1)広域物流施設の場合は、積み替え機能の他にどのような機能を持たすべきか判断でき、また、2)都市内物流施設の場合は、より積み合わせしやすい品目や共同化実現の可能性などの判断に使用できることが分かった。
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