研究概要 |
平成5年に水道水質基準として新たに追加された13種類の有機塩素化合物のDNA損傷性をDNA鎖切断を指標にして調べた。DNA鎖切断は、FADU法を用い、γ-線を標準とすることによって定量を行った。その結果、13種類の有機塩素化合物のうち、1,2-Dichloroethane, 1,3-Dichloropropeneの2物質に、DNA鎖切断の誘発能があることが明らかになった。また、このFADU法を水道水に適用し、大阪市と京都市の水道水のDNA損傷性を比較した。その結果、京都市と比較して、大阪市で高いDNA鎖切断誘発能が観察された。また、水道水中のDNA損傷性物質が煮沸やグルタチオンの添加によって減少することを明らかにした。 環境中の汚染物質が、DNA修復能欠損の遺伝病患者に与える影響を評価するため、ヒト繊維芽細胞株VA13と、色素性乾皮症A群患者由来の細胞株,XP20S(SV)を用いたrepair assayを行った。Cd,Cr,Se,Hg等の重金属の影響を調べた所、いずれの場合もVA13とXP20S(SV)の間に感授性の差は見られず、重金属類に関しては、色素性乾皮症患者が正常人と比較して、特に高感授性であるわけではないことが明らかになった。
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