研究概要 |
埋立地に使用するしゃ水シートの破損抵抗性を定量的に把握し,評価するための各種試験方法の開発やしゃ水シートから溶出した化学物質の処理を目的に研究を実施した。 物理的試験方法の研究は,(1)突き刺し試験,(2)クラック伝播試験(穴あり,穴なし),(3)コーナー部耐久性試験,(4)一定荷重繰り返し疲労試験,(5)繰り返し疲労試験,(6)耐衝撃試験を実施した。(1)〜(4)の実験には万能試験機を用い,(6)の実験には新たに試作した装置を用いた。(1)〜(4)の実験では,付属機器にしゃ水シートを取り付け,シートに引張荷重や圧縮荷重を載加し,破断時の荷重や仕事量からシートの破損抵抗性を評価した。(6)の実験では,落下したおもりにより生じるシートの破断状況から破損抵抗性を評価した。 実験の結果,(1)しゃ水シート(供試材料として5種類)は,材質別に破断強度の変化がみられる。(2)埋立地の地盤状況などしゃ水シートが敷設される環境条件まで含めた評価が可能である。(3)提案した試験方法は,簡便な装置で短時間のうちにシートの破壊抵抗性を評価できる。(4)設計やシートの選定に有効なデーターを得る試験方法として適用可能であることがわかった。 また,しゃ水シートからの化学物質の溶出試験については,各種埋立地浸出水にHDPE, EPDM, PVC等のしゃ水シート試験片を浸漬し,その浸漬液の分析を実施したが,短時間では化学物質の溶出は確認できなかった。一方,浸漬後の試験片の物性(引張強度)の劣化は認められなかった。
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