研究概要 |
想定地震に対する被害想定は地域防災計画の基礎として重要である.このためツールとして,GISを利用した地震ハザードや地震リスクのマッピングシステムが有効であるが,わが国ではこのためのデータベースの整備が遅れている.本システムでは既存のデータベースである国土数値情報と地域メッシュ統計を最大限に利用して,地震ハザード・リスクマッピングシステムの実現化を目指した. (1)木造住宅の分布の推定 各種統計資料を整理した上で,地域メッシュ統計データから,年代毎に木造住宅数の分布を推定するための関係式を提案し,首都圏での年代毎の木造住宅数の分布を推定した. (2)年代別の木造住宅の脆弱関数の推定 兵庫県南部地震の被害調査結果および強震記録に基づいて,木造住宅の被害と地震動強さの関係を検討した.年代による被害の差が大きいことを確認した上で,年代別に木造住宅の大破率と最大地動速度の関係を定めた. (3)地震リスクマッピングシステムの開発 前年度開発した地震ハザードマッピングシステムで得られた地震ハザードを,(2)で得られた木造住宅の脆弱関数に代入して木造住宅の被害率を算定した.これに(1)で得られた木造住宅の棟数の分布を掛けて,木造住宅の被害棟数の分布を推定した.これら一連の計算手順を地震リスクマッピングシステムとしてワークステーション上に構築し,前年度の成果を加えて,地震ハザード・リスクマッピングシステムを実現した.
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