研究課題/領域番号 |
07455222
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 祥之 京都大学, 防災研究所, 助教授 (50027281)
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研究分担者 |
藤原 悌三 京都大学, 防災研究所, 教授 (10026031)
高田 毅士 清水建設(株), 和泉研究室, 研究員
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キーワード | 不確定 / 信頼性 / 破壊規範 / シミュレーション / 不規則 / モンテカルロ法 |
研究概要 |
本研究は、構造物の不確定性と履歴形非線形性に注目して、履歴型非線形構造物形の不確定モデリングの方法と確率論的地震応答解析法および信頼性評価法を導出することを目指している。平成8年度では、前年度の不確定構造物の地震応答評価法をさらに発展させ、不確定構造物の信頼性評価法を確立している。 1)先ず、構造物系に含まれる重要な不確定パラメータについて、それらの不確定構造を明らかにし、適切なモデル化を行う。次いで不確定系の条件付き非線形近似解析法を開発し、不確定構造系の部分的な地震応答観測記録から不確定パラメータの確率論的同定ならびに応答推定評価法に発展させた。 2)地震外乱および履歴型構造物の動的特性や破壊規範に対する不確定モデルに基づいて、構造物損傷過程の不確定パラメータを条件とする条件付き確率密度関数の近似解析表現を得た。次いで、この近似確率密度関数の構成に必要な基本統計量に関する応答曲面を実験計画法を用いて構成し、これより構造物系全体および各部の信頼度関数あるいは破壊確率を評価する方法を導いた。本手法は、モンテカルロ法にような長大な計算量を要することなく、不確定構造物の動的信頼性を評価し得る特徴を有する。 3)阪神・淡路大震災では、建物の多くが甚大な被害を受けた。ここでは、建物棟数の多い鉄筋コンクリート造や木造について、外観やアンケートに基づく被害調査を行った。鉄筋コンクリート造については、設計ベースシヤ-係数、壁量など、木造については壁量と被害との関係を調べた。特に、木造建物は不確定性が強く、振動特性や変形性能、耐力等に不明な点が多いので、微動計測や水平載荷による破壊実験を行っている。 上記の信頼性評価や被害調査結果を、現行のような動的な耐震設計法の枠組みに取り込んで、構造物の適正な設計法をどのように構成するかについては今後とも検討する必要がある。
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