今年度は大凡次の研究を行った。 (1)在来軸組工法接合部の荷重-変位特性に関する研究 当初計画ではあまり重要視していなかったものであるが、阪神淡路大震災の発生によりその重要性が指摘された。このため、柱や筋かい端部の各種接合方法について繰り返し加力実験を行い、荷重-変位特性を得た。 (2)従来軸組工法耐力壁(筋かい及び面材)の荷重-変位特性に関する研究 耐力壁についても繰り返し加力実験を行い、荷重-変位特性を得た。多層構造への応用に関するデータが得られた。結果の分析と検討の多くは、次年度行う予定である。 (3)常時微動測定による住宅の固有振動特性の研究 2、3階建て住宅30棟程度の常時微動測定を行い、固有周期と減衰性を求め壁率や建物仕様及び築年数等との関係を求めた。 (4)実大住宅の振動実験と解析的研究 阪神淡路大震災の実証実験として、従来軸組工法住宅の実大振動実験の共同研究に参加し、接合部や木材及び全体挙動に関する多くのデータを得た。 (5)面材耐力壁を含む多層剛接架構構造の研究 2層1スパンで、面材耐力壁を有する剛接架構構造の静加力実験結果の整理と解析的研究を進めた。釘やボルトの荷重-変位特性が分かれば、非線形域も含め各部の挙動が解析可能であることが分かった。 今年度は阪神淡路大震災の調査や実証実験のため、本研究の当初計画を若干変更せざるを得なかった。貴重な教訓とし次年度以降の研究に反映させ、研究の完成をめざしたい。
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