本研究は木質構造により、3〜4階建てを可能にするための基礎研究として計画された。しかしながら本研究費の申請直後、阪神淡路大震災が発生した。このため建物の用途を住宅とし、特に狭小間口の住宅も考慮することとした。そしてその研究概要は以下のとおりである。 1) 阪神淡路大震災の調査研究 木造住宅全般を調査したが、本研究課題との関連では、狭小住宅(3階建てが主目的)の常時微動測定による固有周期、壁量と被害度の関係、及び耐震補強による壁量の増加の固有周期への影響について調査研究を行った。 2) 小規模住宅向け剛接架構の研究 狭小間口住宅として期待されている、剛接架構について2〜3の構法提案を行い。その水平加力実験を行い、耐震性能について検討した。 3) 中大規模構造向けの大断面剛接集成材架構と木質面材耐力壁併用構造の研究 大断面集成材による剛接架構と木質面材耐力壁の利点を活かした併用構造を提案し、壁の有無及び壁の開口形状をパラメーターとして水平加力実験を行い、その耐震性能について検討した。またここでは、弾塑性応力解析法を試み、解析法の妥当性も示した。 4) 終局強度と変形性能に関する研究 本研究で直接加力実験を行った剛接架構と耐力壁付き剛接架構以外の既往の研究も含め、各種木質構造の変形性能等の耐震性能を比較検討し、提案構造の特徴を明らかにした。 今後は動的強度の研究が期待される。
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