研究概要 |
子どもの被子犯罪と犯罪空間の実態を調査するため、予備調査として松戸市と市川市の12小学校、本調査として東京都葛飾区と江東区の18小学校の計30小学校の4,5,6年の全児童(約10500人)に対してアンケート調査を実施した。 子ども達が「犯罪の危険」に遭遇する割合は、予備調査・本調査の30校で各小学校共に四割前后ある。各小学校の地域条件に係わりなく、どこの小学校でも高学年になると4割前后の子ども達が何らかの犯罪の危険に遭遇している。 犯罪被害の内容では女子は風俗犯が多く、男子は粗暴犯の多さに特徴がみられる。 犯罪が多く発生する空間を列挙すると、1つは集合住宅地の公園・緑地である。こゝでは多くの場合、公園・緑地が、日影規制の関係で非建ぺい空間となる集合住宅の北側につくられ、住宅居住者からの視線は殆んどない。逆に、集合住宅の南側の公園・緑地では犯罪は発生していない。2つ目の空間は、路上駐車で囲まれてしまう公園・広場である。公園周辺(外周)の道路に駐車する自動車によって公園や広場の内部が目隠しされて、こうした空間では犯罪が多く発生する。3つ目は、既成市街地の商店街である。こうした商店街では、郊外の大型店の進出等によって商業活動が衰退している所が多く、商店の閉鎖や夜型業種への転換がみられ、子ども達には危険になっている。更には、魚屋や八百屋などの日常的に地域住民が集ってくる施設の立地は、子ども達を犯罪から守るために有効である。
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