建築生産においては、施工段階に総合工事業者及び複数の専門工事業者の専門知識を運用する形で、施工と並行して意思決定されているのが現実である。本研究は、このような錯綜した意思決定のプロセスを明らかにし、これを管理可能な状態にするために、プロセスの全体の構造化して管理及び計画の可能な形に表現すると同時に、建築生産プロセスを管理する方法を開発、提示することを目的としている。今年度はこのうち、前者の意思決定プロセスを明らかにすることに重点を置き、以下の2点を実施した。 (1)各建築専門工事業者による意思決定プロセスの仮モデルの作成 鉄骨工事、コンクリート工事、カ-テンウォール工事、設備関連工事、内装工事の各々について意思決定すべき項目とその順序関係を考察、モデルとして作成した。尚モデル作成に際して行う文献調査から得られた意思決定項目及びその内容についての知識は、平成8年度の作業のために検索可能な形でデータベース化している。 (2)各建築専門工事業者に対する意思決定プロセスについての聞き取り調査 (1)で作成したモデルの誤り、不足を補うとともに、それぞれの意思決定に必要な他の専門工事業者や設計者、総合工事業者からの入力情報を抽出するために、各専門工事業者別毎に複数業者に対する聞き取り調査を実施している。 (2)については、現在首都圏において研究に協力可能な現場が少なく、プロジェクト単位での聞き取り調査を計画しているのだが、必要な量をまとめられずにいる。従って、これについては平成8年度まで継続して行うことになる。
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