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1997 年度 実績報告書

李朝末期『大東輿地図』にあらわれる環境観・自然観の研究

研究課題

研究課題/領域番号 07455248
研究機関中部大学

研究代表者

渋谷 鎮明  中部大学, 国際関係学部, 助教授 (60252748)

キーワード大東輿地図 / 朝鮮半島 / 環境観 / 世界観 / 風水地理説 / 李朝時代
研究概要

本年度は、昨年度までに行った『大東輿地図』に関する書誌学的な事項と、描写方法の形成に関する検討を引き続き行うとともに、尾根線と河川を重視する独特の地形把握の方法を分析し、そこから新たな景観計画・土地利用計画の方途について考案した。具体的には、昨年までソウル大学歴史資料室奎章閣に在籍し、『大東輿地図』をはじめとした古地図研究の若手の第一人者である楊普景氏(現・誠信女子大・講師)を招聘し、日本に所蔵されている『大東輿地図』の書誌学的研究を行うとともに、本研究課題についてのレビューを受けた。さらに、『大東輿地図』に象徴的にあらわれる地形把握の単位を「環境単位」と捉え、前・代表者である齊木崇人の考案した「地勢単位」と組み合わせることで、土地利用計画のための新たな、基礎的な作業方法の確立の可能性を探った。それにより以下のような知見を新たに得た。
第一に、日本各地の図書館のうち国会図書館・東洋文庫・天理大学図書館・大阪府立中之島図書館などに、『大東輿地図』、それに深い関係を持つ『青邱図』、『東輿図』が所蔵されていることが確認され、また楊普景氏の協力により、それらの一部が『大東輿地図』の版本であることが確認されるとともに、年代的にこれまで『青邱図』と『大東輿地図』の間に入ると思われていた『東輿図』が、他の二者の写本の総称ではないかとの新たな仮説を持つにいたった。
第二に、それらの日本に所蔵される『大東輿地図』と『青邱図』では、尾根線にランク付けがなされ、またその尾根線が集水圏やスカイラインを示す重要な単位を示していることが明らかになった。そこから、景観計画の基礎的な作業として尾根線をランク付けし、重要なものを残すことで、景観が比較的よく保全されるのではないかとの仮説を得るとともに、さらにそれらの尾根線で区切られる単位を「環境単位」とし、齊木が以前に考案した「地勢単位」と組み合わせることで、土地利用計画の基礎となる、地形に沿った土地利用の単位を設定することができた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 齋木崇人・渋谷鎮明ほか: "中国・江南地域の集落・居住空間の秩序-東アジアの集落・居住空間研究19〜24-" 日本建築学会学術講演梗慨集. E・2. 511-520 (1997)

  • [文献書誌] 渋谷 鎮明: "朝鮮(李朝)時代末期郡縣図の表現方法にみる風水地理的地形認識" 歴史地理学. 39・3. (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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