研究目的: 加齢につれて人間の眼球水晶体は50歳台から、長年にわたる紫外線の影響が出て構成タンパク質が黄変化し、視界が黄ばむ。この知覚の変化が歩行時の行く先の見通しや足元の判断に誤認を起こさせ、日常災害の原因のひとつともなっている。 研究実績: 建築空間を構成するコンポーネントの内、高齢者の生活の安全上で重要な役割を果たす床・壁の仕上げ材料の実物見本を対象に色事典の作成を目的としている。まず、現在普及しているこれらの多種の実物色見本の屋内仕上げ材色320色の収集を行った。収集に際しては、床材に埋め込む視覚障害者用ブロックや階段や段差の段鼻に使うノンスリップ・幅木・框材など、今後日常生活安全上から注意され開発の途上にある実物色見本をも、できるだけ集めた。 次に、平成4年度の科研で購入したハンディ色差計を用いて、各種実物色見本を計測し、さらに、これら実物色見本に、平成5年度に科研の成果として得た加齢黄変レベル別黄色薄膜をそれぞれにかけ、その黄変色度と視認性に深く関わる輝度をそれぞれ計測した。 こうして得た色度座標・輝度をコンピュータ内に、原色と黄変化レベル別変色の色見本をそれぞれセットとして記憶させ、これの出力はコンピュータに連結した新規科研購入予定のカラープリンターを通して出す準備を行っている。さらに、色見本の品番号にその加齢レベル対応黄変化色が加齢後も認知しやすいようにカラーコーディネートできる分析の研究とこの検索について研究考察を行っている。
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