Ti-(7〜13)at.%Al合金において高温引張試験を行い、変形挙動の温度およびひずみ速度依存性を調べた。また、得られた結果を従来報告されている低アルミニウム濃度合金の結果と併せて考察し、Ti-Al合金における高温異常強化の存在を確認し、その原因を明らかにした。 Al濃度が5%以下の合金は応力-ひずみ速度の関係に遷移点がみられ、応力指数が3.5から4.6へ増加した。一方、5%以上の合金では遷移を示さず、応力指数は3.5にとどまっていた。さらに、変形応力の濃度依存性は、低Al濃度合金では通常の固溶強化理論から予想される依存性を示したが、高Al濃度合金では予想される値より2倍以上大きい値を示し、高温異常強化の存在が明らかになった。 異常強化を示す合金をX線回析および電子顕微鏡によって解析した結果、TiとAl元素の単範囲規則構造が存在することが示唆された。単範囲規則構造の形成の可能性をモンテカルロ法によって計算した結果、異常強化を示す5%以上のAl濃度において単範囲規則が顕著になることが明らかになった。さらに、単範囲規則度のAl濃度依存性を計算した結果、Al濃度の増加とともに規則度が増加することが判明した。一般に規則構造の存在は変形応力を増加させることが知られているので、Ti-Al合金における高温異常強化の原因はAl濃度にともなって増加する単範囲規則構造の存在によることが明らかになった。
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