研究課題/領域番号 |
07455256
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柴田 浩司 東京大学, 工学系研究科, 教授 (90011121)
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研究分担者 |
朝倉 健太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (10111460)
渡辺 和雄 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (30143027)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | ステンレス鋼 / α′マルテンサイト / 冷却速度 / 前歪み / 再加熱 / 熱応力 / 熱歪み / 核生成サイト数 |
研究概要 |
SUS 304L鋼におけるα′マルテンサイトの生成におよぼす、溶体化処理からの冷却速度、冷却前の前歪み、冷却前の再加熱の影響を磁場を付加した場合、付加しない場合で調べた。溶体化処理温度から急速冷却すると、α′マルテンサイトの生成が促進される。冷却前に室温で前歪みを1%程度与えると、α′マリテンサイト生成量が増す。前歪みが1%を越えるとα′マルテンサイトの量は減り、前歪みが3%になると、ほぼ完全に生じなくなる。26テスラまでの強磁場を付加しても、3%を越える前歪みを与えた鋼で生じるα′マルテンサイト生成量は増えない。磁場による駆動エネルギーと加工硬化による変態抑制エネルギーの大きさを比較することにより、3%を越す前歪みによる変態の抑制は、加工硬化によって核の成長が抑えられるからではなく、核生成サイトが前歪みによって壊され数が経るためであると考えられる。500℃付近で再加熱すると、サブゼロ冷却してもα′マルテンサイトが生じなくなる。この現象は、置換型元素の拡散の活性化エネルギーを有する時間依存型過程で生じる。溶体化処理温度からの急冷中によって生じた核生成サイトが、500℃付近の温度での加熱で壊れることによって、変態が生じなくなるものと考えられる。500℃以上の温度に再加熱して急冷すると、再びα′マルテンサイトが生じるようになる。しかし、再加熱温度から空冷するとα′マルテンサイトは生じない。これらの結果から、溶体化処理温度や500℃以上の再加熱温度からの急冷が、熱応力を通して材料中に熱歪みを生じ、こうした熱歪みが核生成サイトとして重要ような役割を演じることが考えられる。
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