研究概要 |
応力誘起相転移によるセラミックスの強靱化作用が期待できる新規酸化物セラミックス素材として、希土類アルミン酸塩、R_4Al_2O_9(R:Gd,Ho)に注目し、高温相を準安定化するための諸因子を実験的に探索し、準安定相の緻密質焼結体を作製して機械的性質を評価し、応力誘起相転移による新しい強靱化セラミックス創製のための基礎的研究を行った。 1.R_2O_3(R=Gd,Ho),La_2O_3,Al_2O_3粉末を(R_<-x>La_x)_4Al_2O_9組成に秤量・混合後、200MPaでラバープレス成型し、空気中1400〜1700℃で20〜40時間焼結反応を行い焼結体を作製した。得られた試料は粉末X線解析で相同定し、粒径・粒子形態等は購入した走査形電子顕微鏡により微細構造観察を行った。 2.1700℃で40時間焼結反応を行った焼結体の結晶相は、(Ho_<1-x>La_x)_4Al_2O_4ではX=0.2までは斜方晶単一相であり、X=0.2以上ではLaAlO_3が第2相として生成した。一方、(Gd_<1-x>La_x)_4Al_2O_4においては、X=0.4まで斜方晶単一相であり、X=0.4以上ではLaAlO_3が生成した。1400〜1600℃の焼結反応及び1700℃で5時間までの焼結反応で得られた試料は単斜晶相であった。 3.種々の粒径を有する単斜晶相試料を1700℃で5〜40時間熱処理し、得られた試料の結晶相と粒径の関係を評価した。その結果、一定粒径(臨界粒径)以上に粒成長すると、斜方晶相が準安定化し、希土類サイトをLaで置換することにより臨界粒径が小さくなることが判明した。(Ho_<1-x>La_x)_4Al_2O_4では、X=0での臨界粒径dc=6.2μm,X=0.2ではdc=3.3μmであった。 4.斜方晶相は外部応力により約0.5体積パーセントの体積膨張を伴い単斜晶相に応力誘起相転移をすることが判明した。 斜方晶相準安定化への粒径と希土類サイトの平均イオン半径の寄与及び応力誘起相転機構の詳細な検討は今後の課題である。
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