研究課題/領域番号 |
07455262
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
島田 昌彦 東北大学, 素材工学研究所, 教授 (80029701)
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研究分担者 |
遠藤 忠 東北大学, 工学部, 教授 (30176797)
滝沢 博胤 東北大学, 工学部, 助教授 (90226960)
内田 聡 東北大学, 反応化学研究所, 助手 (60232849)
山根 久典 東北大学, 素材工学研究所, 助教授 (20191364)
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キーワード | 希土類アルミン酸塩 / 複合セラミックス / 温度誘起相転移 / 高温単斜相 |
研究概要 |
応力誘起相転移によるセラミックスの強靱化作用が期待できる新規酸化物セラミックス素材として、希土類アルミン酸塩、Gd_4Al_2O_9に注目し、Gd_4Al_2O_9/MgO複合焼結体を常圧焼結法とホットプレス法で作製し、高温粉末X線回折、熱膨張率、高温破壊強度測定等によって温度誘起相転移機構、熱的・機械的性質を評価し、応力誘起相転移による新しい強靱化セラミックス創製のための基礎的研究を行った。 1.高温粉末X線回折と熱膨張率の測定結果から、Gd_4Al_2O_9の温度誘起相転移は温度ヒステレシスを持つ可逆的相転移で、高温相から低温相への転移に伴い0.4%体積膨張するマルテンサイト型の相転移であると思われる。 2. Gd_4Al_2O_9/MgO複合セラミックスの熱膨張測定の結果、室温まで温度履歴が観察され、高温相が保持される可能性が分った。室温で複合セラミックス中のGd_4Al_2O_9粒子には大きな圧縮応力が作用し、格子体積が0.3〜1.3%縮んでおり、この圧縮応力は研磨および粉砕で除去されることが判明した。 3.複合セラミックスの室温曲げ強度はGd_4Al_2O_9やMgOの値よりも低い値となった。これは、Gd_4Al_2O_9とMgOの熱膨張の違いにより粒子界面に一部破壊の起点となるクラックが存在するためと考えられる。高温破壊強度測定において、降温時600℃における高温曲げ強度は、Gd_4Al_2O_9の値よりも大きく上昇した。以上の結果より、熱処理ヒーリングによるクラックの減少と600℃まで高温相が保持され、高温相から低温相への応力誘起相転移による変態強化機構が作用しているのではないかと考えられる。 本研究において、Gd_4Al_2O_9の温度誘起相転移挙動が明らかとなり、粒子分散複合セラミックス中で相転移強化機構が作用する可能性を見出したが、マルテンサイト型相転移の詳細な解明には、高温中性子回折の測定が必要で、この研究は今後の課題である。
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