ポリイミドフィルムへのレーザ照射によって、炭素フィルムが調製できることが知られた。この炭素体は実用上も回路構成等に高い可能性を有することが確認できた。炭素体のFE-SEM、TE観察により、窒素雰囲気中及び大気雰囲気中でのレーザ照射サンプルにそれぞれ特徴的な構造が見出された。室温電気抵抗率およびその温度依存性は、低結晶性炭素と同様の特性を示した。また、定性元素分析により、窒素雰囲気中では照射時間と共に炭化が進み、大気雰囲気中では炭化と同時に酸化反応が起きているために炭化層の厚さが成長しないことが確認された。カプトンフィルムにレーザ照射する炭化プロセスが有効であり、精細炭化パターンも期待できると判断された。さらに、炭化路上へのニッケルメッキも容易かつ良好に形成され、抵抗率も格段に低くなり高導電路の形成にも応用が期待でき、高分子フィルム上への回路形成に有望であると判断された。 高エネルギーレーザビームの照射による炭化プロセスの経時変化、また得られた炭素体上への各種金属メッキによって高導電性を賦与する方法、詳細な物性とセンサとしての可能性、基材フィルムと炭化路間の浮遊容量等の検討については次年度の課題としたい。
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