研究課題/領域番号 |
07455265
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機材料・物性
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
阿部 良弘 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (90024223)
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研究分担者 |
春日 敏宏 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (30233729)
野上 正行 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (90198573)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 多孔質材料 / 結晶化ガラス / リン酸塩結晶 / NASICON / イオン交換 / 抗菌性 / 触媒 / リン酸チタニウム |
研究概要 |
本研究は、ガラスのスピノ-ダル分解による相分離を利用して、抗菌性や触媒能をもつリン酸塩結晶を骨格とする高機能多孔質材料を開発することを目的とした。NASICON型構造を持つ結晶には、イオン交換能や触媒能をもつものがある。この組成物はガラス化しにくいので、ある種のリン酸塩を含む擬二成分系としてガラス化させた。まず、Li_<1.4>Al_<0.4>Ti_<1.6>(PO_4)_3-Ca_3(PO_4)_2系をとりあげた。このガラスから得られた結晶化ガラスを酸処理して可溶成分を溶出させ、LiTi_2(PO_4)_3結晶を骨格とする多孔体(比表面積約10m_2/g)が作製できた。この多孔体の骨格のLi^+イオンと外部のAg^+イオンとが容易にイオン交換することを利用して、表層に高濃度のAg^+イオンをもつ多孔質材料を作製した。この材料は高い抗菌性を示した。導入されたAg^+イオンの水への溶出は1μeq/g以下と極めて少なかった。この溶出量は熱処理によりさらに抑えられた。次に、プロペンからアクロレインへの転換、2-プロパノールからアセトンへの転換において触媒活性を示すことが知られるCuTi_2(PO_4)_3結晶またはCuTi_4(PO_4)_6結晶を骨格とする多孔質結晶化ガラスの合成が、母ガラス組成をCuTi_4(PO_4)_6-Cu_3(PO_4)_2系の擬似二成分系とすることで可能となった。得られたガラスを再加熱処理するとCuTi_2(PO_4)_3と酸に可溶なCu_3(PO_4)_2及びCuO相が析出した。これを硫酸で処理するとCuTi_2(PO_4)_3結晶を骨格とする多孔体が得られた。一方、同母結晶化ガラスを塩酸で処理すると、骨格がCuTi_4(PO_4)_6結晶からなる多孔体を作製できた。従来の焼結法により得られたものに比べ、これらの多孔質結晶化ガラスは比表面積が約50〜70m_2/gと1桁大きく、また触媒活性も1.5〜5倍もの高い値を示した。
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