研究概要 |
粒界における不純物元素の平衡偏析は,MeLeanの式で表される事が知られているが,結晶粒径の影響が考慮されていないので理論的な考察を行うとともに,実験的検証を行った.結晶粒径をR,粒界の厚さをtとすると,全粒界が占める体積分率fは,f=3t/2Rで近似される.従って試料組成をx^0,粒界濃度をx^bとすると,粒内濃度x^mは,x^m=x^0-(3t/2R)x^bのように表すことができる.これより結晶粒径の影響を考慮したMcLeanの修正式を得る事が出来た.2元系については,不純物量と偏析エネルギーの違いによって粒径の影響も異なるが,(i)低温程結晶粒径の効果が大きい (ii)粒径が数百ミクロン以上では粒径の違いは粒界偏析に殆ど影響しない事がわかった.また不純物量が小さい時には,結晶が細かくなると,低温における粒界偏析はある一定の値になる.これは結晶粒が細かくなると,バルクの不純物が微量なので粒界に供給できなくなり,その限界量^*x^bは2Rx^0/3tである.一方3元系については,不純物元素XとYの偏析エネルギーΔG^S_XとΔG^S_Yの大小によって大きく変化する.即ちΔG^S_Y>ΔG^S_Yの場合には,Xの粒界濃度は,結晶粒径が小さくなると常に減少するが,Yの粒界偏析量はx^0とy^0に依存し,温度とともに変化する.又,ΔG^S_X<ΔG^S_Yの場合にはYの粒界偏析量をある値以下にしたい時には,粒径を大きくする事も効果がある事がわかった.又,Cu-0.0015at%Bi合金について粒径と粒界偏析の関連を測定した結果,本研究で導出した粒径を考慮した偏析式で良く説明出来る事がわかった.さらにCu中のBiの粒界偏析エネルギーは約62.5kJ/molと推定された.
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