研究概要 |
平成7年度の研究実績は以下のように要約される。 (1)ZrO_2-CeO_2系のc-t相転移特性は立方晶相(c-ZrO_2)の構造に影響される。定比組成に近い(Zr,Ce)O_2および酸素イオン空孔濃度の低い不定比(Zr,Ce)O_2-xでは、c-ZrO_2は蛍石構造をとる。このc-ZrO_2からt-ZrO_2への相転移は、2次相転移とみなすことが出来る。一方、酸素イオン空孔濃度の高い(Zr,Ce)O_2-xではc-ZrO_2中の酸素イオンは理想的な蛍石構造中のサイトから〈111〉方向に規則正しく変位している。この酸素イオン変位を有するc-ZrO_2からt-ZrO_2への相転位は1次相転移である。 (2)希土類R^<3+>イオンを含むZrO_2-R_2O_3系のc-t二相分離は、いずれも溶解度ギャップとみなしうるものである。しかし、二相領域の幅はR^<3+>イオンのイオン半径に依存し、半径の大きいものほど二相領域の幅は広がる。これは、イオン半径効果によりc-ZrO_2の安定性が変化すると考えることにより熱力学的に解釈できる。15EA04:(3)通常の方法では固溶体を形成しないZrO_2-ZrN系において、メカニカルアロイングをすることによってN^<4->イオンをZrO_2格子中に固溶させることが出来る。この固溶は、酸素イオンの生成を伴うものであり、このためN^<4->イオンの固溶はt-Zro_2(およびc-ZrO_2)を安定化させる作用をもつ。
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