研究概要 |
1.方位制御されたCu-SiO_2やCu-GeO_2合金単結晶・双結晶の育成,およびBiを添加して脆化させた試料の作製を行った. 2.上記試料の高温変形試験を行い,室温から高温までの粒子分散強化合金の応力-ひずみ曲線についての基礎的知見を得た.さらに,粒界の方位差角に依存して粒界脆性破壊の起こり易さに相違があることを見出した. 3.分散粒子及び結晶粒界のキャラクタリゼーションを行った.具体的には,電子顕微鏡によるステレオ観察によって高温変形中の分散粒子の形状変化を正確に追究するために必要な解析法を考案した.さらに,[001]対称傾角粒界の粒界エネルギーを方位差角の関数として求め,2.の研究の解析に利用した. 4.高温変形との比較試験として,分散粒子を含むCu-Fe合金単結晶のひずみ制御疲労試験を行い,転位組織の発達過程を追った.その結果,高温変形中の組織の発達過程との類似点(安定転位組織の形成に及ぼす分散粒子の影響)と相違点(疲労試験を特徴づける転位組織の発達)を明らかにすることができた. 5.最終年度である本年度は,以上のような個々の研究の他に,転位論,弾性論,熱力学を用いた総合解析を行った.その結果,外力の有無に依存した分散粒子の安定形状を求める理論研究などを新規に開拓することができた.さらに,高温での拡散緩和の理解のためには,高温変形試験のような直接的な試験のみならず,関連する多方面からの研究を同時進行させることが望ましいという結論に達した.したがって本研究は,当初の計画より多くの研究テーマの開発に繋がるものとなった.
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