研究概要 |
Ni-Al,Ni-Al-Ti,Cu-Co,Fe-Al-Co,Fe-Si,Ni-Mo,Ni-Mn合金に対し、既存の平衡状態図および我々の研究グループが実験的に決定した状態図を基礎に合金組成を定め、通常の溶解法あるいは液体急冷法によって試料を作成した。これらの試料に対して所定の時効処理を施した後、走査電子顕微鏡,透過電子顕微鏡,電気抵抗,X線回折等の分析装置を用いて組織構造の時効変化を調べた。そして得られた組織写真を画像処理し、時効の進行にともなう粒子形状変化、粒子サイズ分布、粒子の空間的配向性の変化および局在化等の組織状態に関するデータを求めた。現時点において粒子成長の遅滞および分裂が実験的に確認できた合金系は、Ni-Al,Cu-Co,Fe-Al-Co,Ni-Moである。特にNi-Mo合金では合金組成を変えることにより、析出粒子の分裂現象から粒子成長の遅滞現象まで幅広く扱える事が実験的に明らかになった。したがって、本合金系においては特に重点的に実験を進めたい。またNi-Al-Ti合金では等温時効において非常にきれいなラフト構造が観察された。この構造は復元時に出現しやすいことは知られていたが等温時効時に形成されることは未だほとんど報告はない。したがって、今後この現象についても追求していきたい。また、最終的な理論計算に必要な物質定数であるeigen歪を、X線および分析電顕、磁気分析を用いて一部測定した。以上の実験は現在も引き続き継続中である。さらに得られた実験結果から組織形態が分岐する条件を割り出し、粗大化の停止あるいは微細化などの組織変化の特異性と非線形現象の出現を明らかにするため、組織分岐理論に基づく組織安定性に関する理論計算も一部開始し現在も進行中である。
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