研究概要 |
本研究課題は,平成7年度〜平成9年度の3カ年に渡って行われる予定の研究である。 平成7年度は,DSC,TEM及びSTEM-EDXを併せて使用し,復元再時効処理を行ったSiCウィスカ-強化6061Al合金基複合材料について,強化材であるSiCウィスカ-近傍の析出物の様相・分布・量,時効析出の進度,溶質原子濃度勾配等について詳細な検討を行った。その結果,以下に示す結果を得ることができた。 1.PFZが観察されるSiCウィスカ-近傍にはMgの著しい偏析が見られた。特に界面直上ではその濃度は高く,4〜6%であった。 2.上記偏析の幅は時効の進行に伴って減少し,最高時効状態における幅は約40nmであった。 3.SiCウィスカ-近傍に偏析が生じる機構は,界面へのVacancy-drag機構による非平衡偏析機構が支配的であると考えられる。 なお,本研究により,マトリックス部分を界面からの距離に応じて2層または3層に分割して,力学的特性に影響を及ぼす時効析出の進度を制御する手法を新たに見い出すことができた。
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