金属やセラミクスなどの無機材料の接合を接合界面での反応又は組織をコントロールすることで可逆的な接合と分離を可能にする技術を提案し、技術開発を行った。ここで提案する分離技術は、1)脆に反応層の形成による界面の脆化、2)水素吸収による接合体の微粉化による分離、を利用したものである。また、接合はなるべく脆弱な反応層の形成を押さえるために表面活性化による常温接合を行った。適用例として1)の場合は、Alと低炭素オーステナイト系ステンレス鋼(JIS SUS304)、2)の場合はLaNi_<4.5>Al_<0.5>とAlを取り上げた。 真空中でアルゴン高速原子線(FAB)を接合材料表面に照射し、オージェ電子分光分析により表面上の不純物元素の変化を観察した。FAB照射に伴いこれらの不純物元素は減少し、減少が飽和するのに要した時間を照射時間とした。接合材料はFAB照射により清浄・活性化した後真空中で圧接された。接合界面の凝着力は表面上の不純物元素の減少とともに増大した。LaNi_<4.5>Al_<0.5>/Al及びSUS304/Alの常温接合は可能であり充分な強度が得られた。SUS304/Alの接合界面を透過電子顕微鏡により観察した結果、ステンレスとAlは常温で接合しても10nm程度の中間層を接合している事が明らかになった。 分離実験:1)LaNi_<4.5>Al_<0.5>/Alの接合体を室温で分離するため、高圧水素の容器に導入し30気圧の水素ガスを添加した。接合体のLaNi_<4.5>Al_<0.5>のみが微粉化し分離可能であることが確認された。2)SUS304/ALの接合体を真空中823Kで2時間加熱した結果、接合界面に脆弱な反応層が形成され、外部から応力を加えることなしに分離できることが確認された。分離はAlリッチな脆い反応生脆成物層とAlの間で生じていた。
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