研究概要 |
1)圧縮木材製造における寸法効果 実験室レベルの小形試験片(40×40)と70mm×3,000mmの大型試験片による含水率,温度の寸法効果を調べた.温度は,木材中心部について10分〜60分の間10分おきに変化を調べた.また,含水率については,煮沸温度(90℃)において同じく10分おきに変化を調べた.その結果,木材中心部と外表面との温度差は加熱開始後40分でなくなることが分かり、大型試験片では60分の加熱で中心部まで可塑化温度に昇温する.含水率については,小形試験片の方が加熱によって下がり方が大きく,大型試験片では60分の加熱によってあまり変化しないことが分かった. 2)圧縮木材と金属との接合 木材の断熱性と金属のもつ強度,耐食性を複合させた複合建材の製造を試みた.アルミニウム押し出し材の上に可塑化した木材を乗せて圧縮力を加えることにより圧密化と同時に接合を行う.接合は木材の圧縮復元力を利用するもので,機械的結合になる.そのための形状・寸法の設計を行い,適切な接合力が得られた.また,圧縮力を加える方向(年輪との角度)が重要で板目面,正目面を圧縮することは出来ても木口面圧縮は困難であることが分かった.加工力は予想外に大きく摩擦力による増分が純粋な変形抵抗の5倍にも達し,潤滑が大きな技術課題になることが明らかとなった。 以上の結果は学会誌「塑性と加工」に投稿した.
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