研究概要 |
CrめっきNi板を挿入材として、窒化ケイ素セラミックスと金属の固相接合における反応相形成機構とその制御に関する研究の結果、以下の知見が得られた。接合加熱時において、接合圧力が低い場合は、反応層の形成に時間的遅れは生じるが、形成する反応層の組織自体には影響はない。1403K以上では同一加熱条件で形成する反応層組織は、セラミックス種により異る。Crめっき厚2.0〜3.5μmの挿入材による窒化ケイ素とSUS304材の接合で、最大440MPaの室温4点曲げ破断強度が得られた。1423K以下の接合加熱においては、加熱の初期段階で、Ni側にNi-Cr固溶体相、Crめっき界面部にCr_2N相、接合界面付近にNi-Cr-Si_3元合金相が形成する。その後の加熱により、Cr_2N相はCrN相へと変化し、接合界面にCrN,(Cr_3Si)とNi-(Si)合金の混合相が形成する。接合界面に形成する混合相の幅は、Crめっき厚によって決まる。Crめっき層として存在していたCrが、反応層の形成に全て消費された後は、混合相中を拡散してくるNiと窒化ケイ素の新たな反応が始まり、低融点のNi-Cr-Si_3元共晶合金を形成して溶融し、窒化ケイ素を大きく浸食するとともに、既に形成していたCrN相を分解し、接合強度は大きく低下する。1473Kの接合では、接合界面にNi-(Si)合金をほとんど含まないち密なCrN相を形成し、その後の溶融相の形成を抑制する反応相を形成させることができる。CrめっきNi板をあらかじめ焼鈍して合金化し、1473Kで接合を行っても、同様のち密なCrN相を形成することができる。本研究結果から、Ni板に代えてMo板等にNiとCrの複層めっきを行いNi及びCrのめっき厚を変化させて、反応層形成に関与するNiとCr量を制限することにより、さらに優れた耐熱性を有する接合の可能性があることを見い出した。
|