研究概要 |
製鋼スラグを構成する種々の鉱物相のうち,純粋CaOと水蒸気との反応について水蒸気分圧=100〜300mmHg,温度=100〜400℃において,反応機構,反応速度,反応速度に及ぼす試料形状,温度,水蒸気分圧等の影響について調査した。実験は熱天秤を用い,石英製反応管内に球形状に加工したCaOを吊るし,この管内にアルゴン+水蒸気混合ガスを流し,水和反応を開始させた。試料のCaOは天然大理石を加工し,これをアルゴン気流中800℃に加熱することにより脱水し作成した。 実験結果より,水蒸気水和反応の反応速度式を導出したが,固体と水蒸気との界面における反応が反応速度を支配していることがわかった。またこの反応の見かけの速度定数は,試料の半径に反比例し,水蒸気分圧に比例することがわかった。 以上の結果をもとに絶対反応速度定数を導出し,かつその温度依存生を求め,活性化エネルギーを導出したところ,100〜200℃の範囲においては,活性化エネルギーは正の値であり,温度が上昇するとともに反応速度も大きくなる。しかし,温度が200℃を越えると,反応速度は逆に温度の上昇とともに小さくなる。これを熱力学的に解析し,この現象は,水和反応の自由エネルギーがゼロにちかづくためであると結論した。
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