研究概要 |
前年度に引き続き,B-C-N系ナノチューブの合成を行った.被原料にはBC_4N多孔体を用いた.それを直流アークプラズマ中で強制的に解離蒸発させた.蒸発した高エネルギーの化学種を水冷銅板上で超急冷して凝縮させた.えられた凝集体を捕集し,透過電子顕微鏡(TEM)及び分析電子顕微鏡(EELS)で詳細に分析した. その結果,次の様な実験事実を明らかにした. 1.ナノチューブの形状は,円錐形,角形,開放形,閉鎖形,両サイド閉鎖形等であった. 2.ナノチューブを組成から分けると,炭素,BN,及びBNナノチューブで囲まれた炭素ナノチューブの3種類であった. 3.炭素ナノチューブがBNナノチューブで囲まれているものは本研究で初めて発見されたもので,これまでには報告されていないものである. 4.B-C-Nの均一組成のナノチューブは存在しなかった. これらの結果は,ナノチューブの組成が均一組成で存在するよりも,炭素ナノチューブとBNナノチューブに相分離して存在する方が熱力学的に安定であることを示している.このような内部が導電体で外側が絶縁体であるナノチューブの合成は世界でも初めてである. この特徴的なナノチューブの生成機構を炭素とBNの蒸気圧の差から推論し,気相種が高温で生成する曲率を有する前駆体の円周に吸着し成長するナノチューブの生成機構のモデルを提案した.
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